ECの会員プログラム/ロイヤルティプログラムの設計で考慮すべき重要な要素

ECの会員プログラム/ロイヤルティプログラムの設計で考慮すべき重要な要素

Shopifyなどのオンラインストアに会員プログラム / メンバーシッププログラム / ロイヤルティプログラムが導入されるケースもだいぶ増え、プログラムの特典も様々なものがあります。会員制度は一様にこうすべきというものではなく、主力商品の価格帯や販売チャネルに加え、コアなユーザーやまだ接点が薄いユーザーも含めて、総合的にメリット生み出す設計ができるかが重要です。

新たに会員プログラムを検討されている人や、いま運用している会員プログラムの見直しを検討されている人はぜひ本文をチェックしてみてください。

会員プログラムのパターン

大きく分けると3つの会員プログラムが存在します。それぞれに優劣はなく、自社の商品・顧客にマッチしているものを選ぶことが重要です。

ポイント型

購入金額の⚪︎%が次回以降の購入に金額として使える一般的なポイントプログラム。会計処理での負担はあります。

ランク×リワード型

購入金額 × 購入回数や指定のアクション行うなどで会員ランクが決まり、会員ランクに応じて様々な特典が受けられる。

ポイント+ランク×リワードのハイブリッド型

上記2つを組み合わせたタイプ。

会員プログラムの指標の優先順位

意外とこれを決めずに突っ走ってしまう企業をよく見かけますが、会員プログラムを導入してみて、半年後や1年後に施策として成功だったどうかを判定する指標は必ず会員プログラム作成時の一番最初に決めましょう。

もちろん複数の数字に良い影響を与えることができるに越したことはないですが、インパクトを与えたい指標に優先順位をつけることで会員プログラムの特典をブレずに決めやすくなりますし、途中経過でうまくいってるのかも判断しやすくなります。

指標の例としてはこんなものでしょうか。細かく見ればもっとあると思います。

  • 総売上
  • リピート数
  • 会員数
  • 優良顧客(属性)の増加

商材別の相性が良い会員プログラム

商品の価格帯や商材によって一般的にどの会員プログラムがマッチするかの例です。

例えば購入単価が5,000円前後かそれ以下の場合、一回の購入の敷居が低いのでポイントがあると次回の購入に繋がりやすいです。

同じ食品という分類でも毎日食べるお米のようなものと嗜好品のスイーツなどはユーザーの購入の敷居も変わってきます。嗜好品の購入優先度は低くなりがちなので、ポイントの方が次の購入に繋がりやすいです。ブランディングとしてランク+リワード型にするのも悪くはないですが、一部の熱量の高いファンや比較的富裕層に当たる顧客以外にはメリットが薄くなるでしょう。

購入単価が2万円を超えてくるとブランドとしての強みが生きてくるのでランク×リワード型がハマりやすいです。販売チャネルが複数あるときには気をつけてほしい点は後述します。

ただ、どちらの会員プログラムが良いか・良かったかという判断をするのは企業自身なので、運営に関わるメンバーが納得感を持てるよう前述のとおり会員プログラムの指標の優先順位を事前に決めておくことが大切です。

個人的にはポイント+ランク×リワードのハイブリッド型が接点が浅い層からコアな層まで幅広い層のユーザーへメリットを生み出すので、ユーザーのための会員プログラムとして認識され良い反応が得られると思います。

体験が良かった会員プログラムの例

具体例としては日清食品グループ オンラインストアの会員プログラムがとても良い設計でした。

年間の購入金額に応じてメンバー区分が決まり、区分に応じて支払いに使えるポイント還元率が変わります。多くの商品単価が200円〜5,000円ほどとアパレルに比べると低めなので、ポイントは次回の購入の後押しになります。

※日清食品グループ オンラインストア参照 https://store.nissin.com/pages/loyalty-rewards

ライフタイムの生涯実績プログラム

今後増えていきそうな例として JAL Life Status プログラムも挙げておきます。

一般的な会員プログラムは1年毎に更新されますが、JAL Life Status プログラムは生涯実績プログラムです。

※JALサイト参照 https://www.jal.co.jp/jp/ja/jmb/lsp/

このプログラムは短〜中期的な売上のインパクトは少ないですが、1年でリセットされないという点は幅広いユーザーにとってフェアな形です。接点が浅いユーザーには意識されにくいものではあるものの、ブランドとして末長く利用していただくための会員プログラムと目的が明確で良いと思いました。

モールとの実質価格の比較

現在の販売チャネルにモールがある場合、注意すべき点があります。

楽天やZOZO、Yahoo!ショッピングなどにも出店している場合、自社のオンラインショップと同じ商品が販売されていると、多くのユーザーはどちらで買った方が得なのかを比較します。

ご存知の通りモールは値下げやポイント付与など価格での打ち出しが強い傾向なので、自社サイトもある程度近しい価格感は残しておかないとモールでの購入比率が高まります。またモールの付与ポイントは他社の商品に使われてしまうこともあります。

なんとなくブランド力が強いところの会員プログラムを参考にしてリワード型の方がカッコ良さそうという印象だけで進めずに、多くのユーザーは購入価格のお得感で買うチャネルを判別するという現実的な視点は忘れないようにしましょう。

SNSなどではエモーショナルな体験が拡散されやすいですが、多くのサイレント層はより現実的な面で判断をするものです。自社のユーザーがどちらを好むのかを事前に把握できていれば準備はバッチリです。

特に今はポイント型だけどリワード型に切り替える決断をした場合、定期的に自社サイトでたくさん購入してくれていたユーザーが引き続き自社サイトで買ってくれているかを早めにチェックすると良いでしょう。

まとめ

全てのユーザーを満足させる会員プログラムはなかなか難しいと思います。10年間、毎年1万円買ってくれたユーザーと今年初めての購入で10万円買ってくれたユーザー、比較すべきではないとも思いますが、1年でリセットされる一般的な会員プログラムであれば後者が優遇される形になります。あなたがユーザーだったらどう受け取るでしょう。明確な答えはありません。

企業としての成果とユーザー視点での見え方・中長期的な体験イメージを何度も行き来して、じっくりと自社にあった会員プログラムを考えてみてください。

我々Stackが提供しているShopifyアプリ「VIP ‑ 会員プログラム」の多くの導入支援経験やメンバー自身の購入体験により、商材・顧客層を考慮した適切な会員プログラムを提案できますので、お気軽にご相談ください。

Kazahaya Okada
Kazahaya Okada
株式会社Stack / CRM事業部長
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