【VIP - 会員プログラム活用例】社内販売を実現する

【VIP - 会員プログラム活用例】社内販売を実現する

本コラムでは、「VIP-会員プログラム」を利用して社内販売を実現するための設定方法について解説します。VIPは、私が所属している株式会社Stackが提供しているShopify Appsで、店舗・EC・モバイルアプリ共通のポイントや会員ランク、ポイントギフトや友達紹介、会員限定価格などに対応するロイヤルティプログラム構築パッケージです。

昨年のShopifyのアップデートで"automatic app-based discounts"(=各Shopify Appsが提供する自動ディスカウント)の同時運用上限が5個から25個に拡大されたことは、マーチャントの方々にとってはあまり馴染みがないかもしれません。

元々Shopifyが用意しているディスカウントタイプの中にも「自動ディスカウント」という項目はありますが、特定の顧客セグメントを指定して適用させることができないなど、柔軟性に乏しいというデメリットがあります。(これは我々アプリベンダー側が様々なサービス提供を行えるように、敢えてそういう作りにしているのではないかと予想します)

しかし、各Shopify Appsが提供する自動ディスカウントをうまく活用することができれば、特定の顧客セグメントへのクーポンの配布、クーポンは手動適用などといった煩わしい手順から解放される可能性があります。今回はこの自動ディスカウントがいかに便利な機能か、社内販売を例に紹介します。

想定する社内販売の要件

  • 一般公開しているECサイトで社販も実現したい
  • 社販対象アカウントにはポイントの付与を行わない
  • フロントの価格制御は行わず、カート以降で最終的な割引が分かれば良い

大まかな手順

  • 社販対象のShopifyアカウントを本部側で発行する際に、"社員"タグと"VIP:NO-POINT-CUSTOMER"を付与
  • Shopify Flowでポイントを付与している場合、”社員”タグを含むアカウントは条件から除外
  • Shopifyのディスカウント設定画面から、"社員"タグに応じた注文の自動ディスカウントを設定
  • Shopifyアカウントの有効化

社員をポイント付与対象外に設定する方法

手順1. 該当のアカウントに「社員」「VIP:NO-POINT-CUSTOMER」タグを付与する

お客様リストをインポートおよびエクスポートするを参考に、本部でアカウントを作成し、「社員」「VIP:NO-POINT-CUSTOMER」タグを該当のアカウントに付与します。このタグは、該当のアカウントをVIPが有している注文・誕生日ポイントの対象外とする役割を持っています。

詳細:https://docs.stack.inc/vip/point/nopointsetting

手順2. Shopify Flowでポイント付与を行っている場合は、「VIP:NO-POINT-CUSTOMER」タグを持つアカウントを対象外にする条件分岐を加える

Shopify Flowでポイント付与を行っている場合、トリガーとアクションの間に条件分岐を追加し、"VIP:NO-POINT-CUSTOMER"タグを持つアカウントが対象外となるように設定しておきます。

画像は会員有効化時にポイント付与のShopify Flowにおいて社員を対象外にする場合の例

Shopifyのディスカウント設定画面から、"社員"タグに応じた注文の自動ディスカウントを設定

手順1. 注文の自動ディスカウントを設定する

「VIP-会員プログラム」をインストールすると、Shopifyのディスカウント設定画面に「顧客タグのよるXXの割引」という項目が追加されます。今回はこの機能を利用して、社員がECサイトで商品を注文する場合に自動で割引が適用されるように設定を進めていきます。

まず、ディスカウント設定画面から、「顧客タグによる注文の割引」を選択し、詳細条件の設定に移ります。

  • タイトル:割引名称です。チェックアウト時に表示されます。
  • 顧客タグ:どのタグがついている顧客を対象とするか設定します。今回は”社員”を入力します。
  • 値:割引率を「定額」「割合」のいずれかで設定します。
  • 組み合わせ:本ディスカウントを他のディスカウントと併用できるようにするかを設定します。

設定が完了したら保存を押してください。

手順2. 必要に応じて、送料の自動ディスカウントを設定する

社員が商品を注文する場合、送料を無料にしたいといったニーズがある場合はこちらの手順で実装します。手順1.と同様の画面から、「顧客タグによる送料の割引」を選択し、詳細条件の設定に移りましょう。

  • タイトル:割引名称です。チェックアウト時に表示されます。
  • 顧客タグ:どのタグがついている顧客を対象とするか設定します。先ほどと同様に”社員”を入力します。
  • 値:割引率を「定額」「割合」のいずれかで設定します。
  • 最低購入の要件:数量・購入金額をディスカウント適用条件として考慮するか設定できます。
  • 組み合わせ:本ディスカウントを他のディスカウントと併用できるようにするかを設定します。

手順3. アカウントを作成し、動作検証を行う

動作検証として、"社員"タグを付与したテストアカウントを作成し、実際にECサイト上で作成したディスカウントが有効に働くかをチェックしてみましょう。正しく設定できていれば、クーポンコード等を入力することなく、割引が適用されていることが確認できます。

まとめ

「VIP-会員プログラム」を利用して、社内販売を実現する方法について説明しました。Shopifyは、他カートの場合はカスタマイズが発生してしまうようなディスカウントのロジックも、比較的簡単かつ柔軟に設定できる点が優れています。

自動ディスカウント機能を使いこなすと、クーポンコードの入力忘れによって発生するカスタマーサポート対応や、クーポンの通知設定の煩わしさを気にする必要なく運用できるようになります。また、この記事の発想自体お客様からのご相談で生まれたものでもあり、そのくらい運用に対する柔軟性があるという点も魅力的です。

次回はこの機能を応用し、会員ステージごとの特典を設計する方法についてご紹介したいと思います。次回のコラムもお楽しみに!

 

Oscar Ohara
株式会社Stack / 営業&広報責任者
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